就職活動は謙虚さと具体性が大事

私が就職活動をしたのは、もうかれこれ20年位前、その頃はちょうどバブルが弾けた直後ということもあり、少しずつ景気は傾きつつあったのですが、まだまだ売り手市場の時代でした。就職活動の解禁日は大学4年生になる年の4月1日で、解禁日当日は慣れないスーツを着て、全然興味もなかった大手スーパーの合同説明会に物見遊山気分で参加しました。

 当時の自分は旅行が好きだから旅行関係の仕事に就きたいと、漠然と思いつつ就職活動をし始めました。就職活動のマニュアル本を参考に、説明会の前にOG訪問をした方がよいと知ってOG訪問はしました。しかし、あとは下手な鉄砲数撃ちゃ当たると思って、とりあえず極度のあがり症のために肝心な面接のときにあがらないようにと練習のつもりでいろいろな業種の会社の説明会に行き、雰囲気が自分に合いそうならばひたすら面接を受けまくるというような活動をしていました。どうにかなるだろうと軽い気持ちで取り組んでいたのですが、ことごとく失敗し続けることになりました。あまりにも落ち続けるので焦りばかりを感じてしまい、ついにはどこでもいいから内定をもらって就職活動を終わらせたいという気分になってしまいました。結局30社近くを訪問し、10数社の面接を受けて、実際に就職した生命保険会社の内定しか取り付けることができませんでした。

 どうして自分が納得できない形で就職活動が終わったのかを考えてみました。一つには、傲慢な面があったと思いました。自分は有名大学の出身だからという理由で、どうにかなるだろうという思いがとても強かったと思いました。次に、きちんと自己分析ができていないゆえに、自分のセールスポイントを説明する際に具体性に欠いていたことも失敗の原因だと思いました。

大学時代にやったことと言えば、とりあえず大学に通い、アルバイトをし、そのお金でいろいろな場所に旅行に行くことでした。その程度のことしかやっていなくても、自分ならではの経験、例えば新聞の勧誘のアルバイトをしたことがあったのでその時に何を思ったのか、なかなか成績を上げられない時、つまり苦労したときにどのように乗り越えたかということをうまく説明できたらよかったのですが、面接の場でのネタにこそなれ、自己分析が足りないために具体的に表現できずに終わっていました。

また、業界研究が足りなかったことも失敗の原因だと思いました。会社説明会の前にせっかくOG訪問をして実際に働いている人の生の声を聞くことができたのにもかかわらず、全く面接の際には活かしきれていませんでした。旅行業界で働くことが実際にはどのようなことなのかイメージし、それまでの経験とつなぎ合わせて話すことができればよかったのですが、旅行が好きだからという漠然とした思いだけで旅行業界で働きたいという考えに終始していました。これでは他の人との差別化ができないので失敗することは当然でした。せっかくいろいろなところに旅行に行ったのだから、自分ならではの体験をうまく盛り込んで話をすればよかったと思いました。

例えば、会津に初めて一人旅をしたとき、ユースホステルに2泊して観光しました。私はその予定通りに実行したのですが、ちょうど行く前日が大雪で他の人はキャンセルし、一泊目の宿泊者は私一人という状態になりました。そこで、ユースホステルの方は寂しいだろうといろいろと話しかけてくれたり、あるいはユースの食事だけでなく家族が食べる郷土料理も出してくれたり、さらには夜寝るときには寒いだろうからと炭火を入れるタイプのあんかまで特別に貸してくれたのでした。そのような配慮に感激したので、自分も旅行者が満足するような特別感のある旅行を企画して具体的な提案をしたらよかったのですができませんでした。

他の原因としては、極度の緊張のために、伏し目がちに話していました。自信がなさそうにも、本当のことを言っているのかもわからない状況を生んでしまい、よくなかったと思いました。さらには失敗した際に、何が悪かったのかよく分析しなかったことも悪かったと思いました。その当時は落ちるたびに私の雰囲気には合わないだけと考えていたのですが、今思えば原因はあくまでも自分にあるのだと改めて感じました。

 就職活動については失敗したと後悔している私ですが、就職先でとてもよい先輩や同僚に恵まれて、いろいろな困難を乗り越えることで自信がつき、本当に自分がやりたいことを見つけることができました。そして、それを目指して勉強して試験に合格し、新しい職で自分の納得する仕事ができるようになりました。人生にとって何がよいかは終わってみるまでわかりませんが、就職活動は人生を左右する大事なイベントなので、自己分析、業界研究を丁寧に行い、相手にもわかりやすいように具体的に話すことを心がけ、謙虚な姿勢で、相手の目を見ながら真剣に臨むことで後悔しない就職活動をできていたらと思いました。